幼稚園教育の「ねらい」
幼稚園教育とは「環境による教育」なのです。
では「環境による教育」とは?
最新の心理学で言われているものにアフォーダンスという言葉があります。
それは「人間は環境のすべての要素を意味づけながら行動を発生させている」という意味です。
つまり、私たちは周りの状況と常に相互交渉しながら生きており、周りのものすべてに意味があって無意識なうちに意味作用を与えられ、また働きかけられているというものです。
特に幼児にはそういう影響が大変強くあるということです。
たとえば、幼稚園の中で見てみますと、保育室にあるすべてのもの・・・・「壁やカーテンの色・質感」「場の構成・仕切り」「天井の高さ」「飾りつけ」・・・それらは子どもの行動や活動に影響を与えている意味で、大人の期待が示されたものであり、大人が間接的に指示しているということでもあるのです。
また幼稚園にあるおもちゃ、用具、自然物、建物、施設、そして先生すべてが『メッセージ』なのです。園内に立っているだけで、その人の姿や表情までもが子どもたちへの大切な『メッセージ』になっているのです。
しかし、子どもに良かれと配置されている樹木、滑り台、ブランコ、土山もそこにあるだけでは子どもを育てるものになりません。それらをどのような意味として子どもたちに伝えるかが重要なわけです。
つまり、それが先生の働きかけ<意味づけ>であり、保育であり、遊びはそれによってたくましく展開されるのです。
このようにたくさんの『メッセージ』をわたしたち幼稚園の先生は、毎日子どもたちに用意しているわけです。
幼稚園の先生は、いつも笑顔でハツラツと・・・・というイメージを望まれていますが。
アフォーダンスの考え方からも、これは本当に大切なことだと思います。
なぜなら、人間は幼児期までに「生きるってすばらしいんだ」のメッセージに浴してないと、「生きるってすばらしいんだ」の生き方はできないものだからです。
「うちの子が30、40 の歳になって集ってきた時、みんな自分に自信を持ち、自分を語れて、人生を生き生きと過ごしているぞ!」
こう言えるのが幼稚園の成果であり、私立幼稚園の誇りなのです。